こちらでは、敏感な問題については「言いたいことも言えないこんな世の中は…」という状態ですので、隠語・遠回しの表現・風刺などがネット上にあふれております。今回は世知辛い世の中を反映したネット上の小話(クリスマスバージョン)をご紹介します。
重要通知:圣诞老人在从丹麦进入中国境内的途中,因雾霾太大看不清路摔倒,至今无人敢扶,仍在雪地里趴着,袋子里的礼物被哄抢一空,䴢鹿被城管收走,雪车又因为无牌照被交警没收!今年圣诞节取消!请互相转告。
重要なお知らせ:サンタクロースのおじさんは、デンマークから中国へやってきたのですが、スモッグがひどくて道路が見えずに、(着地に失敗して)転倒してしまいました。誰も助けようとする人がおらず、雪の上にうつぶせになったままです。袋の中のプレゼントは、すでに略奪されてすっかり空になっており、トナカイは城管に(都市管理局職員、路上販売や違法駐車などを取り締まる。)持って行かれ、ソリもナンバープレートがないため、交通警察に没収されました。
よって、今年のクリスマスは中止です。周知のほど宜しくお願いします。
この内容には、様々な社会問題についての皮肉が込められています。雾霾=スモッグ、ご存じのとおり大気汚染は今年もひどいです。また「无人敢扶」=倒れている人を助けないというのは、通りすがりの人が倒れている人を憐れに思い助けたところ、倒れている人から慰謝料を請求されるという事件が発生して以降、人々は同様のことが自分の身に起こることを恐れて、助けない人が続出していること。さらに事故などで路上に散乱した物資は、(誰のものでもないからと)勝手に持って行ってしまうこと、さらには城管・交警などの厳しい取り締まりが、クリスマスを題材として語られています。
今日(25日)も大気汚染はひどいようです。先日、知り合いの日本語学科の学生が、微信で次のようなネタを披露していました。
「上海の天気は美味しいね!」
「何それ?」
「上海雾霾天气!」(上海の天気は雾霾wumai=うまい)
このような寒々しいギャグでさえも、もはやピクリとも笑えません…。