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上海留学覚書

上海の片田舎から日常生活(食事・酒・煙草・雑念など)について綴ります。

佛系遊戯って何だ?「旅かえる」が流行ってる件

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佛系遊戯って何だ?「旅かえる」が流行ってる件

先月からある後輩(女性、日本語は少し分かる)が、微信のモーメンツに、カエルが旅をする画像を投稿するようになりました。



よく見てみると、旅行先は日本の景勝地で、操作画面は日本語で表示されています。当初は、こちらの後輩のモーメンツを通して、日本の景勝地を学べるなんて新鮮だなぁ、などと思っていました。すると、その後知り合いの方々(主に日系企業に勤めてるこちらの人々)が、次々に同じように「旅するカエル」の画像をUPするようになりました。



どうやら「旅かえる」(旅行青蛙)というゲームらしく、このゲームはあの「ねこあつめ」(猫咪后院)を開発した、日本のHit-Pointがリリースしたものであることが分かりました。その後このゲームは、こちらで爆発的にヒットし、中国のAppStoreの無料ゲームアプリランキングで1位を獲得するまでに。本来日本でリリースされたゲームが、なぜか中国で大ヒットというニュースは、日本のメディアでも報道されるまでになりました。今日(31日)のこちらの報道では、日本の雑誌記事を引用しながら、ダウンロード数が1000万を越え、国別ユーザーの割合は、中国95%、日本2%、アメリカ1%だとするものがありました。



私も、冬休みに入ったのでどうせ暇だしと思い、ダウンロードして始めてみました。基本的な内容は、蛙が勝手に旅へ出かけ、自宅に戻ってきたら、旅先の画像やお土産を持ってくるという放置型ゲーム。そう、放置されるのは我々なのです。プレイヤーは旅に出かける蛙の旅行の準備しか出来ません。厳密に言えば、庭先に生えるクローバー(ゲーム内通貨)と旅行グッズを交換することが主なミッションです。





このゲームがなぜこちらで大ヒットしたのか?という理由について、色々と議論になっているようです。例えば、「子供の頃に動物を飼っていた感覚に似ている」・「日本の観光地の画像が良い」・「子供を育てる感じで、親心が芽生える」・「都市で生活する若者の孤独を癒す」などがヒットの原因だと言われていますが、この問題を解くカギとなるのが、このゲームが佛系遊戯として認識されていることでしょう。



佛系というのは、2014年に日本のある雑誌(non・no)で特集された「仏男子」(ブッダンシ)に由来するらしい(と百度に書いてありました)です。「仏男子」の特徴としては、趣味が一番、マイペース、恋愛はめんどくさい、気を使いたくない、一人が好きなどが挙げられるようです。それが、中国にて派生して、「佛系青年」・「佛系女子」・「佛系学生」・「佛系生活」などの言葉が生れたようです。つまり、佛系というのは一言でいえば、気ままなことを意味する用語ではないでしょうか。時間に束縛され、仕事や勉強に追われて、ストレスや焦燥感・不安感をかかえて生きる現代人にとって、思いのままに生活をするというのは、ある意味自分たちの生活の対極にある理想的生活なのかもしれません。



「旅かえる」の開発者が「好きな時に旅行に行って、家にいたいときは家でボーっとする。そんな束縛のない、気のおもむくままの生活って、毎日忙しい若者が一番望む生活じゃないですか?」(中国メディアのインタビュー:『旅行青蛙制作人:为何受中国玩家欢迎 我们也在查』)といっているように、「旅かえる」は、どうやら現代人(特に若者)が欲する生活を仮想的に体現したものと言えそうです。



ゲームによって(疑似的)感覚を得るというのは、いかにも現代的だと思いますが、「旅するカエル」をやってみた私には、もう一つの感想があります。それは、「待つ」ことにも何らかの価値があるのではないか、ということです。我々は「待てない社会」に生きており、出来るだけ時間を短縮して物事を解決することが、「良いこと」のように思っています。しかし、「待つ」ことは、時として、その待つ時間で色々な思考を巡らせる貴重な機会でもあると思うのです。



例えばデートの時、早めに着いて相手を待つ時間、時間上は5分しか経っていないのに、なぜ30分或は1時間も待った感覚になるのでしょう?それは、時計で測れる時間と我々の時間的感覚にズレがあり、またそこに相手を想う気持ちが挟まっているからでしょう。たまには、時間の束縛を忘れて、気ままな時を過ごしたいものです。



ところで、私の蛙ですが一日経ってもまだ帰って来ません。どこに行ったんでしょうか?


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