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上海留学覚書

上海の片田舎から日常生活(食事・酒・煙草・雑念など)について綴ります。

上海を歩く1(黄母祠)


上海の歴史は、主に租界時代など近代以降のことについて語られることが多いですが、一漁村から近代都市へと変貌を遂げる過程も、また興味深いものがあります。(写真は“黄道婆墓”の展示館前です。)

今回ご紹介するのは、上海に伝わる人物伝説の一つで、江蘇松江地方(現上海市松江区)に紡績技術と紡績機具を伝えた黄道婆という人物です。黄道婆は、宋末年から元初にかけて松江地方における紡績業の発展に大きな貢献をしたといわれ、地元民がその貢献に恩義を感じて、祠や墓を作ったとされています。

彼女の経歴は、おおまかにいうと次のようになります。

姓名:黄道婆(黄婆、黄母とも)
生卒年:1245頃―1330年
出身地:松江府烏泥涇鎮(現上海徐匯区華涇鎮)の人


貧しい家庭に生まれた黄道婆は、幼いとき“童养媳”となった。“童养媳”とは若くして他家に売られ、成人するとその他家の嫁となるというものだった。だが、そこで虐待を受け続けた黄道婆は、上海から出る船舶に身を潜めて崖州(現海南島)へと逃れた。

崖州では、現地の黎族と長きに渡り共に生活するなかで、彼らが伝える製綿方法や製綿機具の製作・改良について学んだ。望郷の念を捨て切れなかった黄道婆は、元の元貞年間(1295-1297)に故郷へと戻るが、耕作に適さない痩せ地で貧困にあえぐ地元民の姿に心を痛め、自分が習得した木綿栽培・紡績技術・紡績機具の改良などを伝え、そのおかげで地元の烏泥涇鎮を含めた松江地方は、綿織物業が盛んとなり、民は貧困から抜け出す事ができた。

すでに高齢であった黄道婆は、技術を伝授してまもなく亡くなった。人々は彼女の功績をたたえ、また感謝の意を込め廟・祠・墓などをつくった。


名前・出身地・説話内容をめぐって諸説あるようですが、本来説話(中国語では“伝説”)というのは、実在の人物や事件をもとにしており、人々が信じるに足る証拠(“記念物”)があることがその条件とされています。


黄道婆とは黄おばあさんくらいの意味ですが、彼女が庶民階級の人であったため、姓名が正確に伝わらなかった可能性もあります。また、彼女に関する史跡も、たとえ戦乱によって壊されても、再建を繰り返しており、
人々が彼女の存在と功績を信じていたことが分かります。


また、松江一帯が綿花の生産地であったり、海南島がインドや東南アジアと近く、製綿技術や機器が伝わりやすかったという地理条件、さらには黎族の刺繍は有名であったことなど、
この説話はいくつかの事実を背景として成立していることが分かります。


前置きがだいぶ長くなりました。黄道婆に関する二つの史跡(“黄母祠”と“黄道婆”)を紹介します。今回は、まず“黄母祠”です。

“黄母祠”

場所:龍呉路1111号(上海植物園内、入園料成人15元・学生7.5元、祠は入園券があれば入れます。)

概要:清の雍正8年(1730年)に建立され、入り口には元中国仏教教会会長の趙樸初氏が“黄道婆紀念堂”と揮毫した扁額がかけられている。堂内には、黄道婆を紹介するパネルや関連書籍が展示されており、なかにある紡織機具館には、黄道婆が始めて創ったとされる三錠紡車(足踏み式の糸紡車)・撹車(綿繰り機)・織機などを陳列している。

交通アクセス:公共バス56・770・824など(黄母祠に最も近い2号門の場合、バスは“龍呉路龍水南路”で下ります。また、地下鉄3号線の石龍路で下りると、徒歩7分程度だとガイドブックに書いてありました。その場合は4号門が最寄の入り口となります。)

開放時間:8:30-17:00(祠の入り口には9:00-16:00と書かれています。)




2号門入り口



入り口から右へ行くと、案内板あり。



入り口です。






奥に昼寝中の管理人がいますが、気になさらずに…。


門の上に掲げられた扁額です。文中に紹介した趙樸初氏の揮毫です。


展示館の内部の黄道婆紹介パネル


展示品1


展示品2


黄道婆に関連する書籍


展示館中央にある黄道婆の銅像です。



昼寝をかます管理人。私は彼を起こさないように、出来るだけ足音をたてずに館内を移動しました…。


展示館の左後方にある紡織機具館です。


紡織機


三錠紡車(足踏み式の糸紡車)


撹車(綿繰り機)


紡織機2(こちらには柵がありません。触れてもいいのでしょうか...。)


壁面には人々が木綿を紡いだり、織機を使う様子が描かれています。


水上に浮かぶものを見て、“風雲!たけし城”を思い出した方がおられたら、一緒に美味しいお酒が飲めそうです。念のため渡ってみましたが、ダミーは一つもありませんでした。

以上、簡単に紹介しましたが、展示物は織機などの実物(模型でしょうが)を展示しており、黄道婆に関する紹介や説明も充実しておりました。管理人にお話を伺おうと思いましたが、サボって昼寝していたため、話を聞けず少し残念でした。

次回は、この“黄母祠”の近くにある“黄道婆墓”を紹介したいと思います。

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